極北の自然は静けさの中にある。爆音を放つ滝の中、グリズリーがサーモンの骨を噛み砕く音が聞こえる。荒野に浮かぶどんよりと分厚い雲は雷鳴を轟かせ、雨粒がテントを激しく打つ音は耳をふさぎたくなるほどだ。それでもなお不思議と静寂の中にいる感覚がある。
もしも動物の感情が見られたらどんなに面白いだろう。もしも風景に意味があったら何を語りかけてくるのだろう。いつもそんなことを考えながら撮っていたが、ふと、自分の内側にある感情を動物や風景に見出していたことに気づいた。(2015-09-01)
著名で優秀なデザイナーやクリエイターは星の数ほどいるが、地球の自然に敵う者はいない。僕はただ謙虚に彼らの作品を写し撮ろう。(2014-08-15のノートより)
北の地の生態系はシンプルだ。目を凝らすとアラスカの荒野に暮らす野生動物たちのドラマが見えてくる。そればかりか、ひとたび動物が現れると今まで風景の一部だった草や岩さえも賑やかにそれぞれのつながりを語りだす。