極北の原野は独特の雰囲気に満たされている
遥か遥か見渡す先まで山谷が広がり 完全な静けさが無限を思わせる
もちろん自然の中にはたくさんの音が溢れている
早瀬では川の水が流れを阻む岩にぶつかり 空気とかきまぜられて絶えず轟音を放つ
サーモンをめぐってヒグマが身体をぶつけ合うと 鈍い音が川底に沈み
その咆哮は驚くほど遠くまで空気を緊張さる
それでもなお どんな音も原野を支配する大きな静寂に消えていく
寂しさ 孤独 静謐といった感覚が湧き上がってくる世界の中で
野生動物たちはひっそりと暮らしているのだ